梅毒って何?性病検査に精通した現役の臨床検査技師が説明します。

梅毒

1⃣梅毒って何?

トレポネーマパリダム (Treponema pallidum;TP)という細菌によって引き起こされる感染症。無治療のまま放置すると、各臓器や神経を破壊し、死に至る事もある。(治療法がない時代は多くの人が命を落とした)感染力はとても強く、セックスやオーラルセックスだけではなくキスでも感染する可能性がある。ここ数年ではニュースで見聞きした人も多いと思うが、日本国内において梅毒の感染者数は4~5倍にも増加している。図1(国立感染症研究所のホームページより引用)

また、東京都内では、2023年の患者報告数は感染症法に基づく調査が始まって以来、最も多い3,701人となった。私が陽性の患者様から話を聞く限りでは、感染者が増加した背景に路上売春やパパ活の増加、マッチングアプリの普及、安価な性風俗店の参入が考えられた。

2⃣梅毒はどんな症状?

主に下記の3段階に症状は分かれていて、徐々に進行していく。

第1期梅毒:⁠感染して数週間〜3ヶ月

感染した部位(性器、唇、口の中)に、痛みやかゆみのない小豆ほどの大きさのしこりや潰瘍ができる。図2(提供:一般社団法人日本性感染症学会) 時間の経過により自然と症状は消えてなくなる為、この段階では気が付かない場合が多い。

図2.第期梅毒症例写真

第2期梅毒 感染して3ヶ月以降から数年

薔薇の花びらのような赤い発疹が全身・手のひら・足に現れる。図3(提供:一般社団法人日本性感染症学会)

多くの感染者はこの時点で医療機関を受診し、検査をすることで梅毒が発覚する。しかし、こちらの症状も自然に消える事が多い為、治ったと勘違いする可能性がある。

図3.第2期梅毒症例写真

第3期梅毒 感染して数年以降から10年

皮膚や骨、筋肉、肝臓や腎臓、その他様々な臓器にも、ゴム腫(ゴムのような腫瘍)ができる。治療後に梅毒が体から消えても、ゴム腫自体は残り、各種臓器の働きを障害する可能性がある。その為、遅くても第2期梅毒に移行するまでに治療をする事がとても大切になってくる。

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